「世界最大医療機器展」ドイツ視察記 Vol.2 最新医療機器動向-1

~まず、はじめに~

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第二回のコラムでは、IT技術を用いたウェアラブル製品の最新動向についてお伝えします。日本では、まだまだウェアラブル製品を用いた医療機器は限定的ですが、今後必ず普及してくると思いますので、参考になる話題ではないでしょうか。どうぞお楽しみください。

~ユニークなウェアラブル製品~

ウェアラブル製品はGPSや加速度センサーを内蔵した活動量計などに多く見られます。スマートフォンやリストバンド型活動量計を利用して、移動距離や歩数、睡眠時間や消費カロリーなどを計測されている方も多いのではないでしょうか。ここでは、スマートフォンやリストバンド以外のウェアラブル製品を紹介します。

少し遠くからの写真とはなりますが、ウェアラブル製品の展示ブースは大変賑わっていました。

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一つ目の製品は、ドイツのコシニス社が開発した「コシニスワン」です。この製品は耳に装着可能なウェアラブル装置で、イヤホン部から発せられる緑色光の反射の強さによって血圧や心拍数を計測し、それらのバイタルデータを解析できる製品です。現在は、主にアスリート向け製品として、トレーニング中のバイタルデータを確認することに使用されていますが、今後、手術で使用する医療機器に活用する構想を持っているようです。

二つ目の製品は、同じくドイツ企業のフラウンホーファー社が開発した「フィットネスシャツ」です。このシャツにはECG(心電図)や呼吸数などの生体情報を記録できる電極が組み込まれており、このフィットネスシャツを着用するだけでトレーニング状況やその効果を把握することできます。更に不整脈などの予期せぬ事態を未然に発見することによって、過剰なトレーニングを防止することができます。また、消防士が着用することによって、消火活動時の安全を外部から判断する製品として使用することも考えられているようです。但し、現状では、ドイツやEU内で使用するための許認可を取得していないため、早期に使用できるようになることが期待されています。

最後に紹介する製品は、イスラエル企業のタイトケア社が開発した「タイト」です。この製品は、医師と患者を結びつける遠隔治療機器のウェアラブル製品です。

タイトは患者の容態を診断・計測できる聴診器や舌圧子、耳鏡が内蔵されている各医療機器と、それらの医療機器を接続して使用するカメラ付き本体で構成されています。この製品の最大の特徴は、これらのバイタルデータや写真、心拍音や呼吸音などの患者情報をクラウドにアップすることによって、患者が病院に訪問することなく、医師の診断を遠隔地から受診することが出来ることです。既にイスラエルでは使用されており、またFDAの認可も取得しているので、近々、アメリカでも使用できるようになるのではないでしょうか。二次感染を防ぐ観点から、風邪などの感染症が流行する冬の時期には、大変有用な機器になると思います。

~次号について~

三回目のコラムでは、引き続き、Telemedicine(遠隔治療)とその他の情報についてお伝えしたいと思います。

(文責:熊谷)